為替先読み研究所

今月は円安?円高?2011年9月 米国はQE3!? 日銀の金融緩和と介入の本気度は?

米国債務問題からドル/円は一時76円台に突入。日本は円売り介入に踏み切ったが、ついに米国は国債の格下げという事態に…。

世界を揺るがす米国…。昨年9月のデジャヴュ?

米国はデフォルトをなんとか回避したが、ねじれ国会的状況の中で格付け機関を納得させるような十分な規模かつ実行可能性の高い財政再建策について合意に達することができなかった。そして8月5日、S&Pは格下げに踏み切り、さらなる引き下げの可能性にも言及した。

財政緊縮による景気押し下げも懸念される中、QE3(量的緩和第3弾)への期待も高まりつつある。今後の米国経済指標が良好なものとなり二番底懸念が後退するまでは、ドル安圧力が続く可能性は高い。

一方、これまで日本の当局は円高の進行にもかかわらず、特段の対策をとらず、産業界の政治への要請も電力安定供給などエネルギー政策や震災復興に焦点が集まりがちだった。だが、円高が輸出競争力を弱め、海外生産比率の上昇と国内雇用縮小につながるのはほぼ確実だ。

8月末の基準改定でインフレ率は0.8%ポイントの大幅下方修正となる確率が高く、4月にようやくプラスに転じていたCPI(消費者物価指数・除く生鮮食品)は再び大幅なマイナスに陥るとみられ、デフレ対策の必要性も再浮上する。

こうした中、財務省はようやく重い腰を上げ8月4日に円売り介入を開始。当初の介入額は4兆円を超えた模様で過去最大規模となった。また、野田財務相は円高のスピードのみならず円相場の水準への懸念も表明し、今後も円高圧力に対して継続的に対応する姿勢を見せた。

ただし、米国サイドの要因からくるドル安圧力が根強い中で、当局がどれだけ粘り強く介入を続けられるか本気度が試されている。米格下げ後にはG7の共同声明が発表され協調介入も匂わせたが、「ドル全面安」という状況ではない中で主要国によるドルの買い支えは期待できない。今後も日本単独で対応しなければならないだろう。

日銀も同様だ。日銀は財務省による円売り介入と歩調を合わせて追加緩和策を実施したが、欧米も追加緩和に向かう機運が高まる中で他国以上に積極的とは必ずしもいえず、これまで通りのスピード感での緩和規模・ペースに留まっている。機動的に追加緩和を打ち出し円高圧力を緩和できるか、本気度が試されている。


山本 雅文(やまもと まさふみ)
バークレイズ銀行チーフFXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり、日本・欧州における重要な為替取引および調査に従事。その後、日興シティグループ、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのFXストラテジストを経て現職。


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この記事は「WEBネットマネー2011年10月号」に掲載されたものです。


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