為替先読み研究所

今月は円安?円高?2011年10月 QE3は効果薄? 世界的な株高はないかも…

欧米債務問題と世界経済減速懸念から、ドル/円は円がついに戦後最高値を更新し、一時75円台に突入。QE3期待が高まっているが、その効果はあるのか?

QE2とQE3は別物。仕込むなら、ポンドか

米国ではさらなる追加緩和の可能性が高まっている。具体策としては、失業率の一定水準への低下やインフレ率の一定水準への上昇など低金利政策の解除に関する条件を設ける案や、FRB(連邦準備制度理事会)が保有する国債などの資産の満期を長期化し長期金利を低下させる案、資産購入額拡大など複数の案が俎そ上じょうに載せられている。

しかし、今回は昨年11月にQE2(量的緩和第2弾)が実施された際とは状況が異なる。現在はインフレ率が上昇してきており、将来的なインフレを高めかねない大規模な量的緩和は行ないにくい。また、QE2開始後にはドル安や株高が起きたが、今回は量的緩和の効果に懐疑的な見方が強い。こうした中、仮に追加緩和があったとしても、大規模な量的緩和ではなく、保有証券の満期の長期化などドルへの直接的影響が測りにくい政策が中心になるだろう。

このため、ドル/円は米国の長期利回りの大幅低下からくるドル急落も、リスク選好度の高まりからくる大幅円安も想定しにくい。ドル/円の基本的な方向性は米国経済の回復ペースいかんにかかっている。景気の二番底が回避され、緩やかながらも回復継続が確認されれば、ドルは緩やかに上昇するだろう。

8月以降は、スイスや日本で通貨高対策が本格化した。米国の追加緩和も結果としてのドル安を想定している点で通貨安政策といえるだろう。先進国では財政赤字が急拡大して財政刺激が難しい中で、多くの国が景気対策上、自国通貨は弱いほうがいいと考えている可能性が高い。

ただ、自国通貨が上昇しても、株価が下がったりデフレ圧力が高まったりしにくい国もある。むしろ、高インフレに直面する国は通貨高を通じた物価押し下げ効果に期待する国もあるだろう。歴史的な通貨安にある国なら、多少上昇しても経済界や政策当局からの抵抗は少ない。

そのひとつがポンド。英国ではポンド高の際に株価が下がる傾向は見られず、歴史的なポンド安水準となっている一方でインフレ率は目標値を大きく超え、ポンド高の弊害は少ない。日米やスイスで通貨高対策、通貨安政策がとられた場合、相手先として買う通貨ではポンドが魅力的かもしれない。


山本 雅文(やまもと まさふみ)
バークレイズ銀行チーフFXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり、日本・欧州における重要な為替取引および調査に従事。その後、日興シティグループ、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのFXストラテジストを経て現職。


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この記事は「WEBネットマネー2011年11月号」に掲載されたものです。


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