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注文状況が直感的に分かる。
東証がまったく新しいタイプのテクニカル分析を開発。
『東証 Market Impact View』を使った新たな株式投資!

株式投資において、最もポピュラーなテクニカル分析といえば、ローソク足チャート。最近ではこれ以外にも、マニアックなテクニカル分析が存在しているが、そのほとんどが、過去の株価の動きから将来を予測するものばかりだ。テレビで言えば、 “再放送” を参考に投資戦略を立てているといったところか……。
この度、東証が開発した『東証 Market Impact View』は、目の前の注文状況から相場を分析するまさに “生放送” 型のテクニカル分析だという。



目で追えないフル板状況を直感的に把握することができる

「このテクニカル分析は、約定前の注文状況から個別銘柄の動きを捉えるもので、過去に例のないまったく新しいタイプの分析手法です」とは、東京証券取引所・情報サービス部の田中大介さん。

現在、東京証券取引所(以下、東証)では、『東証 Market Impact View』(マーケットインパクトヴュー)という “市場分析ツール” のβ版をホームページを通じて無料で提供している。

ご存知の通り、東証は「量的拡大、質的向上によるマーケット規模の拡大」を図るため、2010年1月より、株式売買システム「arrowhead」(以下、arrowhead)を稼働している。

arrowhead導入により、投資家は個別銘柄のすべての気配状況を見ることができるようになったが、一方では、「スピードが速くて、板情報が追えない」といった個人投資家からの要望も寄せられていた。

そこで東証は、「板が追えない」という投資家のために、また、arrowhead稼働によって膨大にはき出されるデータを有効活用してもらうために『東証 Market Impact View』を開発したのである。

田中大介さん
東京証券取引所 情報サービス部
商品企画運用グループ グループ長


大口の成り行き注文が入った場合にどこまで動く?

開発に携わった工学博士でシーエムディーラボの尹 煕元さんは言う。

「従来のテクニカル分析は、過去の相場の経験則をもとに“相場は繰り返す”という前提で売買サインを発するものがほとんどでした。しかし、『東証 Market Impact View』は、現状の注文状況から各銘柄の売り買いのインパクトを予測するもので、大口の成行注文などが入った場合にどのような値動きをするのかなどが視覚的にわかるようになっているのです。これを参考にすれば、ディーリングに適した値動きが激しい銘柄や、流動性が高い銘柄をスクリーニングすることが可能になります

詳しい解説や操作方法については、東証のホームページを参考にしていただくとして、ここでは『東証 Market Impact View』の考え方や、活用方法などについて簡単に触れていきたい。

尹 煕元さん
シーエムディーラボ代表取締役 工学博士

☆個別銘柄分析画面

☆市場分析画面



板が偏っている銘柄をスクリーニング機能で閲覧

『東証 Market Impact View』は、①個別銘柄分析、②市場分析といった2つの分析アプリケーションで構成されている。

個別銘柄分析では、フル板情報を分析することで、現在の注文状況が「売り」または「買い」のどちらに偏っているのかを直感的に把握することができる。また、「売り」「買い」にかかわらず、注文状況が偏っている銘柄をスクリーニングすることも可能だ。

一方、市場分析では、市場全体のトレンドを把握するのに役立つ。具体的には、「売り」「買い」の注文の偏り状況をマトリックスによって俯瞰的に眺めることが可能だ。現在、テスト的に提供しているβ版では、板バランスを縦軸に、当日の始値からのリターンを横軸に取り、各銘柄を点で配置。この点にパソコンのカーソルを合わせると、個別銘柄のデータが表示される。

たとえば、個別銘柄分析で「買い」に偏っている銘柄が見つかった場合には、どのような投資戦略で臨むのがいいのか? 株価が需給関係で動く以上、一般的には、「売り板が少なく、買い板が多い」場合には、上昇しやすいと考えることができる。しかし、百戦錬磨のディーラーの中には、「板が薄いほうに動きやすい」という人も少なくない。こればかりは銘柄のクセなどもあり、単純に「買いに偏っているから上がる」、または「売りに偏っているから下がる」と考えるのは危険なようだ。そこで、「窓・壁・軸理論」など、自らも新しいテクニカル分析を編み出しているテクニカルアナリストの黒岩泰さんに『東証 Market Impact View』を実際に試してもらった。


板が薄い方に動く銘柄を見つけ出し、買い出動!

「もし、私が売買に『東証 Market Impact View』を活用するとすれば、まずは板バランスで売りに偏っている上位銘柄の値動きを観察します。次にその銘柄が実際に下落しているかをチェック。板バランス通りに下落している場合にはトレードを控えます。逆に上昇している場合には、買いを仕掛けていきます。つまり、ディーラーが言うところの“板が薄いほうに動きやすい銘柄”と考えることができるわけです」

なぜこのような考え方が成り立つのか。黒岩さんによると、「トレードで重要なのは短期の需給(瞬間的な需給)ではなく、中長期の方向性。短期の需給と中長期方向性には力学における作用・反作用の関係に相当する」のだとか。

わかりやすく言えば、「下落しやすい需給なのに上昇している銘柄が買い候補」であり、「上昇しやすい需給なのに下落している銘柄が売り候補」になるわけだ。これは、黒岩さんが開発した「窓・壁・軸理論」の「窓・壁(短期の需給)」「軸(中長期の方向性)」に相当するのだと言う。

『東証 Market Impact View』の長所は、超短期の需給を板情報で的確に教えてくれるところ。データテーブルによって、需給のよい銘柄や悪い銘柄を容易に選択できるうえに、“板スプレッドヒストグラム”によって、潜在的なボラティリティも推測できるところです」(黒岩さん)

『東証 Market Impact View』は、生まれたばかりのテクニカル分析。今後、東証がユーザーの意見を取り入れ、どのように進化していくのか楽しみだ。いや、マニアックな投資家なら、すでに『東証 Market Impact View』のデータからバックテストを行ないオリジナルのテクニカル分析を手掛けている最中かもしれない。

「先日、東証では、恒例の『IRフェスタ』というイベントが行なわれたのですが、若い個人投資家の方が『東証 Market Impact View』に大変な興味を示されていました」とは、東証の田中さん。まだ、IDを取得していない投資家はすでに出遅れているのかもしれない。まずは、東証のホームページ(http://www.tse.or.jp/)または『東証 Market Impact View』特設サイトへ(https://www.tse.marketimpactview.com/)へGO!

黒岩泰
黒岩アセットマネジメント代表 テクニカルアナリスト


『東証 Market Impact View』の主な特徴



→銘柄の注文状況が「売り」「買い」どちらに偏っているかを直感的に把握可能

→注文状況が買い(売り)に偏っている銘柄を簡易にピックアップできる

→複数銘柄の売り買い注文の偏り状況を俯瞰的に描画

→板が厚く、値段が動きにくい流動性が高い銘柄の可視化

→潜在ボラティリティが高い(低い)銘柄の抽出が可能





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