GOLDの風

亀井幸一郎が金の魅力と今後の市場動向を解説米国財政協議の混迷で修正迫られる超弱気シナリオ

米国財政協議が危機回避で合意に達し、米国政府の資金繰りの行きづまりはひとまず回避されることになった。政治的混乱はFRBの政策運営に影響を与え、ひいては金価格の行方を左右する要因となる。


先送りされた米国の財政協議は、3つの項目でそれぞれ期限が設けられた。注目点は、それらが今後のFOMC(連邦公開市場委員会)のスケジュールと微妙に重なる点だ。

米国の政府機関閉鎖は、企業家マインドや個人消費などへの影響が懸念されているが、量的緩和策縮小を模索するFRB(連邦準備制度理事会)としても不透明要因として無視できない。政策判断の重要項目となっている雇用統計は、9月分の発表が3週間近く遅れ10月22日に行なわれたが、内容は雇用の増加数(14万8000人)が市場予想(18万人)を大きく下回るサプライズとなった。他の重要指標の発表も遅れており、判断材料の不足などからFRBも慎重にならざるをえず、懸案の買い取り縮小への着手は年内は見送られることになるだろう。

金市場においては、ゴールドマン・サックスを筆頭に投資銀行は先行きに対して弱気な姿勢を示している。提示されていたシナリオは、2013年下半期に米国景気の回復ピッチが上がり、年内には量的緩和策の必要がなくなり、金利の上昇サイクルが鮮明化し、金は1000ドル方向に下がるというもの。次のFOMCは12月17〜18日だが、その直前の12月13日に先送りした財政協議の骨子を決める超党派委員会が結論を出す期限がくる。さらに翌月の2014年1月15日に暫定予算が切れるタイミングとあっては、12月の政策変更は難しいだろう。この予算組みに加え、2014年2月7日に期限を切った連邦債務上限問題もそこまでに決着を見ない可能性がある。したがって、2014年1月28〜29日のFOMCも不透明要因を抱えた中での判断は難しいと考えざるをえない。

バーナンキ議長は来年1月末で任期を終えるが、自身最後のFOMCでも緩和策縮小の道筋をつけられないまま退任となり、指名が決まっているイエレン次期議長にバトンタッチということになりそうだ。政策変更は、その間に経済指標が目に見えて改善されない限り3月以降ということになる。こうした政治サイドとFOMCの日程に景気回復のもたつきが重なると、金市場における弱気派のシナリオは変更を余儀なくされるだろう。シナリオが完全に覆されるのは、FRBが緩和縮小ではなく、さらに来年半ばに向けて拡大に向かわざるをえないケースだが、その可能性も2割ほどはあるのではないかと考えている。


亀井幸一郎亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券、に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。

この記事は「WEBネットマネー2014年1月号」に掲載されたものです。


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