特集

成長期待と不安定な経済…激変する新興国事情をリサーチスパイシ~・マーケットの歩き方(2017年2月号)

第57味 米国
次期大統領の政策姿勢「トランプノミクス」は、メキシコを襲う〝政策ハリケーン〞か !?

米国とのつながりが強い新興国経済には、マイナスの影響も

2016年最大の政治イベントだった米国大統領選挙は、ドナルド・トランプ氏の勝利という結果に終わりました。

選挙期間中は、「もしトラ(もしもトランプが大統領になったら)リスク」という言葉が噴出するほど警戒されていましたが、終わってみれば、むしろ日米の金融市場は手の平を返したような反応(ドル高・株高)を見せました。

2017年1月に始動するトランプ次期政権の経済政策での大幅減税やインフラ投資などの大型財政支出や金融機関への規制緩和といった、政策姿勢「トランプノミクス」への期待を先取りし始めたといえるでしょう。しかし、トランプノミクスには、期待通りに「実現してほしい政策」だけでなく、保護貿易主義や移民政策などの「実現されては困る政策」も混在しています。

実際のトランプ次期政権の政策運営がどのようになるのかはまだ不透明ですが、米国とのつながりが強い新興国経済にとっては、マイナスの影響が濃くなる可能性があります。とりわけ、警戒されているのが隣国のメキシコです。

トランプ氏の勝利を受け、メキシコは為替、株式、債券がそろって下落する〝トリプル安〞に見舞われ、メキシコ中央銀行は米国大統領選挙直後の11 月 17 日に利上げを決定しています。

選挙期間中にトランプ氏が言及してきた具体的な政策は、「NAFTA(北米自由貿易 協定)の見直し」「メキシコに移転した企業からの輸入品に 35 %の課税」といった内容です。さらに、不法移民の強制送還をはじめ「、メキシコ国境の壁」建設なども主張してきました。

メキシコはNAFTAによって貿易規模を拡大し、経済的恩恵をフルに享受した国です。安い労働力と低い関税障壁で、米国企業や海外企業が米国向けの製品や部品を製造するための工場をつくり、米国に輸出するという構図です。また、米国内の不法移民の約半分が、メキシコ系といわれています。

とはいえ、米国自体への影響も懸念されます。強硬な通商政策でダメージを受けるのは、メキシコ国内に工場を持つ米国企業です。また、米国の労働力人口における不法移 民は5%以上を占めており、 不法移民排除の政策は労働者不足とコスト増を招き、トランプ氏が推進しようとするインフラ投資の足を引っ張る可能性もあります。トランプ氏の〝政策ハリケーン〞がどのような勢力となってメキシコに接近するのか、注意深く見ていく必要がありそうです。


楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田雅之

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券隨一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。



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