特集

亀井幸一郎が金の魅力と今後の市場動向を解説GOLDの風(2017年4月号)

スタートを切った米国のトランプ新政権は低支持率ゆえに、通商や外交面で対外的な圧力を高めそうだ。欧州の主要国で続く選挙の結果も懸念される。こうした市場を覆う「不確実性」への対応手段として金の保有がある。

数値化できないリスク、それが「不確実性」 対応策としての金

筆者は、「不確実性」とAI(人工知能)やロボットなどのイノベーション(技術革新)に関連した「第4次産業革命」を2017年の2大テーマと捉えている。なかでも前者の不確実性は、政治的要因として株式から為替、そして商品と市場横断的に警戒意識が広がっている。英国のEU(欧州連合)離脱騒動に端を発し、米国の大統領選挙からトランプ政権の誕生を経て、市場は〝想定外〞のシナリオに身構えざるをえない。

不確実性はリスク要因にちがいないのだが、金融工学の側面かは扱いに困るというのが正直なところだろう。というのも、リスクは一定の数値化が可能で、それゆえヘッジができる。しかるに、政治的不確実性は数値化が難しく、ヘッジができない。ならば、どう対応するのか。

想定外のことが発生した際に、誰よりも早く対処できればいいのだが、それには高度のAIを搭載したコンピュータープログラムによる売買インフラ(ロボットトレード)が必要で、一般的な次元の話ではない。そこで注目されるのが、不確実性の対応策としての金保有だ。一般的に不確実性への備えとして、保有資産の中でキャッシュポジション(現金の比率)を高めておくことがある。

実際にこの1月 17 日にバンクオブアメリカ・メリルリンチが発表した調査レポートでは、ヘッジファンドなどグローバルな投資家は、現金比率をポートフォリオ全体の5・1%に高めていることが判明している。数千億円から兆の運用資産を持ち、高度なロボットトレードシステムを駆使していると思われる大手の投資家でも、こうした対応をとっているわけだ。

すでにヘッジファンドや年金基金など金をETF(上場投信)の形で保有しているところも多いが、想定外の要因で市場が不安定になった際に逆に値上がりが期待できるという金の特性に着目してのことだ。さらに、ETFを含めて金は換金しやすい(流動性が高い)資産であることも保有の理由。個人レベルでも、この考え方はもちろん通用する。

トランプ新政権は、公約の実行手段として矢継ぎ早に発布した大統領令により内外で混乱を招き、非難の声が高まるなど波乱の幕開けとなった。通商政策では保護主義的な色彩が目立ち、外交面でもイスラエル寄りの中東政策など市場は警戒を強めている。反EU機運が広がっている欧州の主要国で複数予定されている選挙も、不確実性の大きな要素。1月は月間で約5%の上昇となった金だが、こうした中で堅調展開が続きそうだ。


マーケット・ストラテジィ・ インスティチュート代表

亀井幸一郎 KOICHIRO KAMEI

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社であるMMI、金の国際広報・調査機関であるWGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆・講演など幅広く活躍中。



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