ネットマネー2017年8月号96ページに記載の高千穂交易の売買単位に誤りがありました。
正しくは「100株」です。お詫びして訂正いたします。


特集

成長期待と不安定な経済…激変する新興国事情をリサーチスパイシ~・マーケットの歩き方(2017年5月号)

第60味 フィリピン
米国との関係に注意。巡航速度のフィリピン経済に死角はあるか?

米国トランプ政権とどう付き合うかが今後のポイントに

今年1月にフィリピン政府から2016年の実質GDP(国内総生産)成長率(速報値)が発表されました。四半期ベースの 10 〜 12 月期の成長率は、前年同期比6・6%増で7四半期ぶりに減速しましたが、2016年通期で見ると前年比6・8%増となり、前年の同5・9%増から拡大しています。

また、フィリピン政府が目標としている2017年の成長率目標は6・5〜7・5%であるほか、世界銀行も昨年12 月に同国の成長率予測を引き上げており、フィリピン経済は巡航速度で推移し、今後もその見通しが続くと見込まれています。

フィリピン経済は2012年あたりから高成長軌道に乗り、労働人口も若く、消費拡大のポテンシャルが高い一方で、貧困や格差、麻薬問題、インフラ不足などの課題も多く抱えています。そんな中、昨年6月に誕生したのがロドリゴ・ドゥテルテ大統領です。

ドゥテルテ大統領といえば、麻薬犯罪者の一掃や国連への悪口など、強烈なキャラばかりが目立つ印象です。しかし、経済政策については基本的に前政権からのインフラ整備推進を中心とした方針を踏襲しています。

大統領に就任して間もなく、日本や中国とトップ会談を行なって両国から多額の資金援助や融資を引き出すなど、早くも手腕を発揮しているほか、規制緩和や外資誘致にも積極的な姿勢を見せています。しばらくは盤石そうに見えるフィリピン経済ですが、死角がないわけではありません。

懸念材料とされているのは、米国との関係です。ドゥテルテ大統領の外交政策は、前政権の親米反中路線とは異なり、中国との距離を縮めようとするスタンスです。経済的な利益を重視するあまり、過度な中国への接近は米国を刺激してしまうリスクがあります。

さらに、米国自身の影響を受ける可能性もあります。トランプ大統領の保護主義的な政策志向や、利上げ観測による国内資金の流出などが懸念材料です。米国との関係悪化は、海外からの投資マネーを呼び込み、経済成長につなげたいフィリピンにとって大きな痛手です。

フィリピンのGDPは海外労働者からの送金がかなり寄与していますが、こうした送金額の約3割が米国からのものです。また、英語圏であるフィリピンには、多くの米国企業がアウトソーシング先として進出しています。

オバマ政権時に誕生したドゥテルテ大統領ですが、現トランプ政権とどのように付き合っていくかが、今後のフィリピンの注目ポイントといえそうです。


楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田雅之

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券隨一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。



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