ネットマネー2017年8月号96ページに記載の高千穂交易の売買単位に誤りがありました。
正しくは「100株」です。お詫びして訂正いたします。


特集

亀井幸一郎が金の魅力と今後の市場動向を解説GOLDの風(2017年8月号)

フランス大統領選挙をリスク要因として上昇していた金市場。そのイベント終了で欧州リスクは一巡したと見られたところに、米国で政治リスクが再燃。しかも大統領の弾劾の可能性まで懸念される事態に、再び金には上昇圧力が。

政治リスクの高まりが欧州から米国に移り、年初来高値更新をうかがう金

2017年前半のイベントとして金市場が関心を高め、実際に「不確実性」への備えとして資金が流入し、価格上昇の材料となっていたのが欧州の政治リスクだった。その筆頭がフランスの大統領選挙だった。無党派のマクロン候補が当選し、市場が懸念した反EU(欧州連合)、反移民を唱えた極右政党・国民戦線のルペン党首は敗れた。

フランスの大統領選挙に際して、最も懸念が高まったのが、第1回投票が行なわれた4月 23 日の直前のこと。選挙終盤に極左政党のメランション候補が支持率を伸ばし、混戦模様となり選挙結果が見通せなくなったことによる。政治リスクへの警戒の中でNY金先物は年初来高値を更新し、1297・4ドルまで上昇したが、1300ドルの大台乗せは見られなかった。

その注目の第1回投票では、市場の懸念は解消されることになった。EU擁護派のマクロン候補が決選投票に残ったこと、ルペン候補の得票率が支持率並みにとどまり、市場の恐れた〝隠れルペン支持者〞の存在が恐れるほどではないということになったからである。実は、5月の決選投票を待たずにこの段階から金市場では、先物市場でのファンドの買い建て(ロング)の手じまい売りが膨らんだ。さらに5月3日の米国FOMC(連邦公開市場委員会)では、声明文が先行きの景気に強気の見通しを示し、次回6月の追加利上げ観測を高めたことが金の下げに拍車をかけた。そして、フランス大統領選挙が終わった直後の5月9日に金は1214・3ドルまで売り込まれ、年前半のヤマ場が終了という空気が金市場を覆っていた。

ところが、結果的にこの安値を記録した5月9日が金市場の反発への転換点となった。それは欧州の政治リスクが沈静化する一方で、米国でにわかにリスクの火の手が上がったことによる。この日、トランプ大統領が突然コミーFBI(連邦捜査局)長官を解任した。昨年の米国大統領選挙ではトランプ陣営とロシアが接触を繰り返していた事実が指摘され、 実際、2月にはフリン大統領補佐官がこの件で辞任に追い込まれている。その後、3月にトランプ大統領が当のコミー前長官に対し、辞任したフリン前補佐官に対する捜査の中止を要請するような発言があったことが表面化。司法妨害の可能性が急浮上した。悪くすれば弾劾もある事例に、さすがの議会共和党も危機感を強める。大型減税など重要法案の立法化の遅れも必至で、次元の違う政治リスクの再然に、金は年初来高値更新の延長戦に入ったとみられる。


マーケット・ストラテジィ・ インスティチュート代表 亀井幸一郎
KOICHIRO KAMEI

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社であるMMI、金の国際広報・調査機関であるWGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆・講演など幅広く活躍中。



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