ネットマネー2017年8月号96ページに記載の高千穂交易の売買単位に誤りがありました。
正しくは「100株」です。お詫びして訂正いたします。


特集

成長期待と不安定な経済…激変する新興国事情をリサーチスパイシ~・マ~ケットの歩き方(2017年8月号)

第62味 中国
膨大なスケールの中国の「一帯一路」構想。そのねらいと成果は?

景気安定や雇用機会の創出など「一帯一路」のメリットとデメリット

5月中旬、中国、北京で「一帯一路」に関する国際イベントが開催されました。一帯一路とは中国が描く経済・外交政策構想のことで、一言でまとめると、「現代版のシルクロードをつくろう」というものです。一帯は〝陸〞のルートを、一路は〝海〞のルートを指します。中国と欧州、そして中央アジア、東南アジア、西アジア、太平洋地域諸国を結ぶ〝一大経済圏〞を築いて、共に繁栄していく理念を掲げています。

実は、一帯一路というキーワードは2013年ごろから登場し、以降も中国の経済政策のテーマとして意識されてきたため、特に目新しいものではありません。ただ、今回のイベントでは130を超える国と地域から約1000人の参加者が集まる大規模なものとなったことや、習近平国家主席が冒頭のあいさつで構想の実現に向けて基金の増額を表明するなど、積極的な推進が強調され、中国の本気度や本格的な始動を印象づけるものとなりました。

この構想を進めることで、道路や鉄道、建設、海運、物流、エネルギー、通信、金融などのインフラ投資が活発化することが期待されます。ちょうどイベントが開催されたタイミングで、トランプ政権とロシアの不透明な関係をめぐる〝ロシアゲート〞疑惑が浮上し、「トランプ政権によるインフラ投資政策が滞ってしまうのでは……」との警戒感が高まりました。

米国と中国のインフラ投資について、一方は懸念が高まり、もう一方は期待が高まる格好になったわけですが、米国は「米国第一主義」による閉ざされたインフラ投資に対して、一帯一路は多くの関係国がつながるという面でも、対照的だといえます。

世界経済への寄与という面では、一帯一路のほうがマーケットにとって好テーマになりやすいのかもしれません。ただし、一帯一路についても、問題はあるようです。たとえば、バングラデシュで中国資本の提供を受けて建設した港への中国海軍潜水艦の寄港や、建設した港自体が機能せず新たな富を生み出していないといった事例も出ています。その結果、中国の影響力だけが強くなってしまう、「中国第一主義」になる懸念もくすぶり、その点については大いに注意が必要です。


楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田雅之

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券隨一の中国マニアのテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。



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